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不動産に「掘り出し物」はある?探し続ける3つのリスクと本当に安く買える物件の条件

執筆者:松村保誠(宅建士・1級FP技能士・マンション管理士)

2026年5月26日

掘り出し物の物件ないかな。

今回は「掘り出し物のお得な物件は存在するのか?」というテーマでお送り致します。

正直なところ、この件についてお客さんから聞かれたことは大昔に一度や二度、ある程度の話です。
しかし、友人などからは、いまだにお酒の席などで「そういうのってあるの?」などと聞かれることが、ちょくちょくあるので、みなさん少なからず興味のある話題なんだろうなと思い、今回、取り上げてみることにしたわけです。

掘り出し物を手に入れたいとお考えの方はもちろんのこと、そうでない方にとっても不動産購入を行う上での重要な学びのあるテーマかと思いますので、お時間の許す方は是非、最後までお付き合い下さい。

基本的に存在しない

それでは、まずは結論から。
掘り出し物のお得な物件などというものは、基本的には存在しません

理由は以下の3つです。

1.価格査定が適切に行われるようになった

不動産の売却をするに際しては、その前提として、当該不動産の売り出し価格を決めるべく、価格査定が行われます。

この価格査定は、昔は不動産屋の都合でデタラメになされることもありましたが、今はかなり的確になされることが多くなっています。

誰もが物件ポータルサイトなどのインターネット情報を通じて、ごく簡単に不動産の相場価格を把握することができるようになった現代においては、仮に不動産屋が、なんらかの意図があって不当に安い査定価格を提示したとしても、売主さんにすぐに見抜かれてしまうようになっているからです。

さらに今は複数の不動産屋の査定を受けるのが常識になっていますので、不当に安い価格査定を行っているようでは、そもそも売主さんから売却を任せてもらうことさえできません。

このような事情で相場価格を大きく下回るような掘り出し物の物件が、非常に出にくくなっているのです。

2.不動産屋が先に買ってしまう

仮に上記のような事情をもうまくすり抜けて、掘り出し物の物件が出るようなことがあったとしましょう。
そのような物件を一般の方が運よく買えるようなことはあるでしょうか。

結論から言いますと、まず、ありません。
掘り出し物と呼べるほどの物件が出るようなことがあれば、そのことを最初に知った不動産屋が先に買ってしまうからです。

もちろん、その不動産屋にそれを買い取るだけの資金がないということもあると思います。
でも、その場合であっても、ほかの不動産屋に買い取らせて、再販売の権利をもらうなど、少なくとも一般のお客さんにそのまま仲介で物件を紹介するよりは、儲けを大きくする方法はいくらでもあるわけです。

にもかかわらず、その物件の情報が一般の方にまで、普通に届くとすれば、その時点で、当該物件は掘り出し物などではないということになります。

万が一にでも不動産屋の営業マンが「掘り出し物があるのですが」などと言い出したら「この営業マンは信用できない」と判断する方が無難です。
さっさと見限って、他の不動産屋を頼られることを強くおすすめします。

3.安くする理由がない

一般的なビジネスをやっている会社や個人には商品やサービスを安く提供する理由があります。
たとえばスーパーなどでは、ときどき「これ原価割れじゃないの?」と思うような価格でたまごが販売されていることがありますが、あれは、その安さによって、お客さんがたくさん、お店を訪れてくれれば他の商品が売れて、しっかり儲かることがわかっているから、そうしているだけの話ですよね。

では、個人の売主さんに不動産を必要以上に安く売ろうとする理由があるでしょうか。
もちろん、ないですよね。
個人の売主さんが安売りしたら、単に損して終わりですから。

さらに言えば、売主が不動産屋である場合であっても、必要以上に安く売る理由がありません。
だって、スーパーで売られているような商品と違って、不動産に「ついで買い」はないですから。
個人の売主さん同様、安売りしたら、単に損して終わりになってしまうのです。

以上の3つが私が掘り出し物のお得な物件などというものは、基本的には存在しえないと申し上げる理由になります。

いかがでしょうか。
これらの理由を見れば、きっと、多くの方が「なるほど、不動産で掘り出し物などというのは、まず、ないんだな。」とご納得頂けたことと思います。

ありもしない掘り出し物にこだわり、ムダに時間と労力を使って、疲れ果ててしまうことがないよう気を付けて下さいね。

掘り出し物を求めるリスク

次に掘り出し物を求めることによって生じうるリスクについて、お話しておきたいと思います。

既に掘り出し物の物件なんて、まず、存在しないということはご理解頂けたと思いますが「それもで、ひょっとしたら」などという気持ちが残っている方が少なからず、いらっしゃることでしょう。

そういう気持ちに整理をつけるためにも是非ともご一読下さい。
掘り出し物を求めることによって生じうる主なリスクは以下の3つになります。

ムダに時間と労力がかかる

まず、ありもしないものを探し続けるわけですから、当然、ムダに時間と労力がかかることになります。

「毎週のように休みを潰して、いろんな不動産屋を廻っているのに、なかなか自分が思うほど好条件の物件が見つからない。」

その結果、疲れ果てて最終的な判断を誤るようなことにもなりかねません。
十分、ご注意下さい。

不動産屋から相手にされなくなる

不動産屋からすれば掘り出し物を探しているお客さんというのは、まず、成約する見込みのないお客さんです。

そんなお客さん、不動産屋だって相手にしたくないですよね。

結果、一般的な意味での優良物件情報さえも提供してもらえないような状況になってしまいやすいのです。

だまされる可能性が高くなる

不動産屋の立場からすれば、ありもしない掘り出し物を求めるお客さんを成約するには「そうでないものを掘り出しものであると誤信させる」しかないわけです。

ストレートに言うと、そういうお客さんに対する関係では、不動産屋は「どうにかして、だましてやろう」と考えやすくなるということです。

気を付けなければならないのは、不動産屋の側にそういう意図が働くとき、「実際には得をしていなかった」というレベルで終わらず、ときには「実際には損をしていた」などということにもなりうるということです。

欲張りすぎてかえって損をすることがないよう注意が必要です。

以上が、掘り出し物を求めることによって生じうる主なリスクです。

誰にだって他の人より得をしたいという気持ちは少なからずあります。

しかし、それが行き過ぎると、かえって足元をすくわれることになりかねないというのは誰も否定しえない事実です。

特に不動産購入の場面での失敗は、取り返しがつかないくらい大きなものになりがちですので十分、注意するようにして下さい。

多少、安いぐらいの物件はある

ここまでお伝えしてきたとおり、掘り出し物と呼べるほど、相場より、めちゃくちゃに安い物件は、まず存在しません。
しかし、じゃあ、安く買える物件は一切ないのかと言うと、実は、そんなこともないんですね。

掘り出し物と呼べるほどではないけれど、相場より多少は安いかなといった程度の価格で購入できる物件は、わずかながら存在します。

ここでは、どんな物件が相場より多少は安いかなといった程度の価格で購入できることになるのかをお伝えしておきますね。

売主さんが売り急いでいる

売主さんが、ある時期までに現金が必要で、そのために売り急いでいるということです。

売り急ぎのよくある理由としては

  • 事業等での債務の返済期限が迫っている
  • 不動産の買換えの場面での購入決済の時期が迫っている
  • 相続税の納税期限が迫っている

などといったことがあります。

内覧時等のやりとりを通じて、こういった事情があることが察知できたら、思い切った価格交渉をしてみても良いでしょう。
かなり、高い確率で受け入れてもらえるはずです。

手間をかけられない

売主さんが遠方に住んでいるとか、体調があまりよくないなどの事情で不動産の売却にあまり手間をかけられない、もしくは、あまりかけたくない、ということです。

こういった事情がある場合には、短期間で決着することを目指して、売り出し価格を多少、安めに設定することがあります。
さらに価格交渉にも柔軟に対応してくれる傾向があります。

素人査定

普段、賃貸取引しかやっていない不動産屋(売買取引については素人)が知り合い等からの依頼で不動産の売却を依頼されたものの、価格査定に慣れていないがために、見当違いの査定、価格設定をしてしまっているというケースです。

素人査定の物件は価格が高すぎることの方が多いのですが、時々、明らかに安いものも紛れています。
そういった物件にうまく遭遇することができれば、安く購入できるチャンスがあります。

要注意・お得に見える物件

最後に掘り出し物の物件を探している人が、掘り出し物だと勘違いして手を出してしまうことが多い物件、要するに一見、価値が高そうだけど、実際にはそうでもない物件のパターンを紹介しておきます。

再建築不可物件

再建築不可物件とは、現在、建っている建物を取り壊した後には、再度、建物を建築することができない物件のことを言います。

建築基準法では都市計画区域内および準都市計画区域において建物の敷地は原則、建築基準法上の道路に2メートル以上、接していなければならないとされています。
要するにこの要件を満たしていないために再建築することができないということですね。

再建築できる物件に比べて、その経済的価値ははるかに劣ることになります。

違法建築物

建築、当初から建築基準法等の規定に抵触する物件のことです。

見た目にどんなに立派でも違法建築物ではどうしようもありません。

その建築物を建築したもの(請負人)や建築主だけでなく、それを売買等により譲り受けた者に対しても除却命令等が出されることがあり(従わなければ刑事罰が課されることもあります)、大きな経済的損失を被る可能性が非常に高いです。

よほど安く購入できるような事情でもない限り、手を出さないようにしましょう。

ちなみに違法建築物は住宅ローンがつかないため、買主候補として現金購入のお客さんが狙われます。
現金購入のお客さんは十分、注意して下さい。

既存不適格建築物

建築当初は建築基準法等の規定に合致していたものの、法改正により事後的に建築基準法等の規定に抵触することとなった物件のことを言います。

よくあるのは用途地域の変更により、建蔽率や容積率オーバーになってしまっているというケースです。
つまり建物を再建築する際には今の建物より、一回り、二回り、小さい建物しか建てることができないことになってしまうということです。

それに伴い利用価値、経済価値も低下することになりますので、その点、ご注意下さい。

ちなみに既存不適格建築物は違法建築物と違って、あくまで違法ではないので除却命令等を受けたりすることはありません。

事故物件

建物内部やその敷地で一般的に忌避される事件、たとえば殺人事件や自殺等があった物件のことを言います。
購入希望者が減少する分、当然、その経済的な価値は減少します。

たとえ自分が気にならなかったとしても、一般的な感覚でどれくらい敬遠されることになるかを考慮しておかないと、思わぬ高買いをしてしまう可能性があります。
ご注意下さい。

危険な場所に立つ物件

豪雨災害や土砂災害の発生リスクの高いところにある物件のことです。

今は各自治体がハザードマップを作成していることもあって、地域内の危険な場所の周知がかなり進んでいます。

そういった場所にある物件は、当然、購入希望者が減っていきますので、それに伴い経済的価値も下落していくものと考えられます。

費用負担の大きい物件

通常の物件に比べて大きな費用負担が見込まれる物件のことです。

たとえば

  • 物件が大きな擁壁の上に立っていて、その擁壁について大規模な修繕が必要になりそうだとか
  • 地盤が軟弱で建物を建てるためには、かなりガッツリとした地盤改良工事をする必要があるとか
  • 前面道路が行政以外の他者所有で、水道工事等をするたびに、その所有者の承諾が必要になるとか
  • マンションで修繕積立金の積立額が不十分であるため、修繕積立金を一気に引き上げたり、あるいは一時金を徴収されたりする蓋然性が高い

とかいった事情があるということです。

これらの物件は相場に比べて価格が安いように見えても、実際には掘り出し物などではなく、単に実質的な意味での経済価値が低いだけの話です

間違っても喜び勇んで飛びついたりしないように注意して下さいね。

まとめ

  • 掘り出し物のお得な物件などというものは、基本的には存在しない。
    理由は以下の3つ。
    • 不動産屋による価格査定が適切に行われるようになった
    • 本当に安いものがあれば不動産屋が先に買ってしまう
    • 売主さんとしては安くする理由がない
  • 掘り出し物を求めることによって生じうるリスクは以下の3つ。
    • ありもしない物件を探すことになるので、ムダに時間と労力がかかる
    • 不動産屋から相手にされなくなる
    • 得したいという気持ちにつけこまれて、だまされる可能性が高くなる
  • 掘り出し物とまでは言えなくても、多少、安いぐらいの価格で購入できる物件は存在する。
    具体的には以下のような物件。
    • 売主さんが売り急いでいる
    • 手間をかけられない
    • 素人査定
  • 一見するとお得に見えるが、購入すると、それ以上に大きな損失を被る可能性がある物件というのが存在する。
    以下のような物件には注意すること。
    • 再建築不可物件
    • 違法建築物
    • 既存不適格物件
    • 事故物件
    • 危険な場所に立つ物件
    • 費用負担の大きい物件

まあ、誰にだって得をしたいという気持ちはあると思いますが、その気持ちが強くなりすぎると、あまりいい結果にならないというのが実際のところだと思います。

そういう気持ちにつけこまれて、かえって大きな損をさせられるようなことがないよう、十分、ご注意ください。

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執筆者:松村保誠
宅建士・1級FP技能士・マンション管理士
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