マイホーム購入時、不動産屋に行く前に決めておくべき5つのこと
執筆者:松村保誠(宅建士・1級FP技能士・マンション管理士)
2026年5月25日

今回は、「不動産屋に行く前に決めておくべき5つのこと」というテーマでお伝えいたします。
マイホーム購入を考え始め、何の準備もせずに不動産屋へ問い合わせるのは、非常にリスキーな行為と言えます。
購入の方向性が定まっていないと、営業担当者の勧めに流され、深く検討しないまま、その場では良さそうに見える物件を購入してしまう恐れがあるからです。
その結果、引っ越してからしばらく経って、「なぜこんな家を買ってしまったのか」と後悔することにも、なりかねません。
そのようなことを防ぐためにも是非とも、ご一読下さい。
不動産屋に行く前に決めておくべきこと
不動産屋に行く前に決めておくべきことは以下の5つです。
- 購入の目的
- 予算の上限
- 物件の所在地域
- 物件の種別
- 利用する不動産屋
もちろん、これら以外にも決めておいた方がいいことはあるでしょうが、まずは最低限、これら5つのことをしっかりと決めておいて下さい。
これら5つのことが、しっかりと決まっていれば、気づけば不動産屋の営業マンの言いなりになって、全く自分たちのニーズには合わないような家を買っていたなどということだけは確実に防げるはずですので。
それでは、以下、各項目について少し詳しく説明していきます。
購入の目的
一つ目はマイホームを購入する目的です。
もちろん一次的には、人様のものではない、自分の家を持つこと自体が目的なのでしょうが、それだけではありませんよね。
たとえば、今の住居が子供の成長にともない手狭になってきたので、より部屋数の多い家を求めているとか、逆に子供がみんな巣立ち、夫婦二人では広い家をもてあますようになってきたので、よりコンパクトに暮らせる家を求めているとか、色々ありますよね。
ここをはっきりさせておかないと、自分のニーズを満たせない見当違いの家を購入することになってしまいかねません。
必ず、はっきりさせた上で、マイホーム購入に関する一連の手続きが終わるまで、しっかりと意識し続けるようにして下さい。
なお、マイホーム購入の目的は、一つとは限りません。
いや、むしろ、ほとんどの場合、複数あるはずです。
ですので一つ出すだけで安心せず、すべての目的を明らかにしておいて下さい。
以下、よくあるマイホーム購入の目的を紹介しておきます。
ご自身の目的を考える際の参考になさって下さい。
- 子供部屋を確保したい
- よりコンパクトな住居に引っ越したい
- ペットを飼いたい
- 趣味の部屋を確保したい
- ガーデニングを楽しみたい
- 農業をやりたい
- 店舗や事務所のスペースが欲しい
- 人気学校区に引っ越したい
- 親のそばに引っ越したい
- 通勤や生活が便利な場所に引っ越したい
- 住居費の負担を小さくしたい
- 駐車場を確保したい
- 住宅ローン控除を利用したい
- 万が一の備えをしたい
- 自然環境豊かな場所で生活したい
- 資産形成を行いたい
- 近隣トラブルから逃れたい
- 安全な住居を確保したい
- 相続対策をしたい
- 老後の住居費を抑えたい
ちなみに複数の目的がある場合、その目的同士が相反するものになることも当然、考えられます。
その場合には、どちらの目的をより重視するのか、あるいは、両目的をどの程度のバランスで考えるのかまで、あらかじめ決めておくと、より後悔のない判断をしやすくなると思います。
予算の上限

最高、いくらぐらいまでマイホーム購入のために使うのかという予算の上限も決めておくべきです。
当たり前の話ですが、家は基本的に高くなれば高くなるほど、より魅力的になるもの。
予算の上限も決めずに営業マンに勧められるがままに内覧していると、自分の身の丈に合わない高額な買い物をすることになってしまいかねないからです。
あらかじめ、この金額までという予算の上限をしっかりと定め、それ以上の価格のものは、いくら勧められても、見ることさえ避けるべきです。
見たら欲しくなるのが人情ですので。
予算の上限を検討するにあたっては少なくとも
- 物件価格の相場
- 購入諸費用の相場
- マイホーム購入に使える自己資金の額
- 住宅ローン借入可能額
の4つの情報が必要となります。
以下、それぞれの情報の確認方法や計算方法について簡単に紹介しておきます。
物件価格の相場
SUUMOやアットホーム等の物件ポータルサイトを見れば、大体の相場は確認できます。
この後、不動産屋に行く前に決めておくべきこととして紹介する、地域や物件の種別が決まったら、それらの情報を使って、絞り込みをかけ、購入対象となりうる物件価格の相場をチェックして下さい。
ちなみにSUUMOやアットホームに登録されている物件は不動産屋が「広告すれば売れる見込みがある」と判断している物件ということになりますので、相場価格に近いことが多いです。
是非、大いに参考にさせてもらって下さい。
購入諸費用の相場
購入諸費用とは不動産を購入する際に必要となる物件本体価格以外の費用のことで、その内訳としては不動産屋に支払うことになる仲介手数料や取引対象物件の名義を変更するために必要となる登記費用などがあります。
ここでは購入諸費用の概算額を大まかに把握できればいいので、概算額を求めるための計算式を紹介しておきます。
| 物件種別 | 計算式 |
| 新築マンション | 物件価格×約 3% 〜 5% |
| 新築一戸建て(建売) | 物件価格×約 6% 〜 9% |
| 中古物件(マンション・一戸建て) | 物件価格×約 6% 〜 10% |
| 注文住宅(土地から購入): | 物件価格×土地 約 5%〜10% / 建物 約 3%〜6% |
上記のとおり、購入諸費用のパーセンテージには、結構、大きな振れ幅がありますが、一般的に購入する物件の価格が高くなれば高くなるほど、そのパーセンテージが低くなり、物件の価格が安くなれば安くなるほど、そのパーセンテージが高くなるものと考えて下さい。
さらに利用する不動産屋によっても、その金額が大きく変ってくることがありますので、その点、注意が必要です。
マイホーム購入に使える自己資金額

ご自身の貯蓄額の中でマイホーム購入費用に充てることができる金額のことです。
人生、何が起こるかわかりませんので、貯蓄額の全てをマイホームの購入資金に充てるのは、あまりに危険です。
そこで当座の生活に必要な資金などを確保した上で、マイホームの購入のためにいくらぐらいまでつぎ込むことができるのかを計算してみる必要があるのです。
私の考えではマイホーム購入に使う自己資金額は少なくとも以下の水準までにとどめるべきです。
マイホーム購入に使える自己資金額≦貯蓄額-6か月分の生活費-1年以内に支出することが確定している特別費
「FPのくせに結構、リスクのある基準を提示するんだな」と思われた方がいらっしゃるかもしれませんが、これは現実の家計事情を知っているからこその判断だとお考え下さい。
普段、お金持ちばかりを相手に家計診断をしているFPの言うことを鵜呑みにしていたら、ほとんどの人が必要自己資金額をなかなか貯めることができず、適切なマイホーム購入のタイミングを逃してしまうことになりかねませんからね。
多少のリスクはあるかもしれませんが、マイホーム購入のタイミングがずれこみ、年金生活に入ってからも住宅ローン返済を続けていかなければならないようなことになるよりは、よほどマシなはずです。
極端なムリはいけませんが、現実の範囲内で自己資金額を考えて頂ければ概ね結構です。
住宅ローン借入可能額
ほとんどの方がマイホーム購入に際しては資金調達のために住宅ローンを利用されると思いますが、その借入可能額を把握するということです。
住宅ローン借入可能額の計算方法は、そんなに複雑なものではありませんが、その理屈まで知る必要はないと思いますので、こちらで住宅ローン借入可能額を簡単に計算できるシミュレーターを用意させて頂きました。
以下のリンクよりご利用頂くことができますので、是非ともご利用になって下さい。
なお、上記のアプリでご計算頂けるのはあくまで住宅ローン借入可能額です。
住宅ローン借入可能額と住宅ローン返済可能額はあくまで別物です。
不動産屋の営業マンの大半はこの違いを区別できていませんので、ミスリードされることがないよう、十分、ご注意下さい。
予算の上限の検討方法
- 物件価格の相場
- 購入諸費用の相場
- マイホーム購入に使える自己資金の額
- 住宅ローン借入可能額
の4つの情報が出揃ったら、そこから予算の上限を検討します。
マイホーム購入に必要となる大まかな金額は
- 物件価格の相場
- 購入諸費用の相場
の2つの情報がわかれば、大体、把握することができますよね。
また、マイホーム購入にあなたが使うことができる大まかな金額は
- マイホーム購入に使える自己資金の額
- 住宅ローン借入可能額
の2つの情報がわかれば、大体、把握することができますよね。
マイホーム購入にあなたが使うことができる金額>マイホーム購入に必要となる金額
となるのであれば、特に問題ありません。
マイホーム購入に必要となる金額をそのまま予算の上限として採用すればいいわけです。
しかし
マイホーム購入に必要となる金額>マイホーム購入にあなたが使うことができる金額
となりそうであれば、再考が必要となります。
すなわち
マイホーム購入に必要となる金額を引き下げるべく
- 新築をあきらめる
- 建物や土地の広さを引き下げる
- 駅近をあきらめる
- 所在地域を変更する
などといった妥協をするのか
あるいは
マイホーム購入にあなたが使うことができる金額を引き上げるべく
- 貯蓄額が増えるのを待つ
- 年収が増えるのを待つ(年収が増えると住宅ローン借入可能額が増えます)
- 親御さんに購入資金の贈与をお願いする
などといったことをやるのか
を考えなければならないわけです。
いずれにしても、マイホームの購入は人生を左右しかねないほどのビッグイベント。
じっくりと考えて、ご自身にとって、より後悔の少ない判断をなさって下さい。
購入予算を検討するための前提知識として住宅ローンについて詳しく知っておきたいという方はコチラ
【プロが本音で解説】失敗しない住宅ローンの選び方!よくある罠と現実的な3つの選択基準
物件の所在地域

不動産というのは、そもそもが立地を買うものですので、所在というのは非常に重要な要素となります。
したがってその所在地域については、ざっくりとでも決めておく必要があります。
所在地域の決め方については以下のような方法が考えられます。
- 町名等で指定する
- 校区で指定する
- 駅等を起点に徒歩~分以内などと指定する
- 勤務地や学校等を起点に通勤時間もしくは通学時間~分以内などと指定する
- 周辺環境などで指定する(田舎暮らしの場合など)
物件の所在地域については、あまり狭く絞りすぎない方がいい物件に巡り合いやすくなります。
所在地域を絞りすぎると、それだけ選択肢が減ってしまうことになるからです。
実際、過去のお客さんの中には人気校区に固執したがために、最終的に相場よりとんでもなく高い価格の物件を購入することになった方がいらっしゃいました。
そんなことにならないためにも物件の所在地域については、ある程度、幅をもって柔軟にお考えになることをおすすめします。
物件の種別
物件の種別とは
- 新築戸建
- 中古戸建
- 新築マンション
- 中古マンション
の別のことを言います。
もちろん、予算的なことや物件種別ごとのタイミングの良し悪し的なこともあると思いますので100%決めておく必要はありませんが、少なくとも優先順位的なことだけでも決めておくべきです。
たとえば「新築戸建が第一希望だけれど、探している地域で予算的に折り合うものが、なかなか出てきそうになければ、リフォームすることを前提に築浅の中古戸建も検討対象とする」といった感じですね。
なお現段階で物件の種別、特に戸建とマンション、どっちを選ぶべきかについて迷っていらっしゃる方は、是非、以下の記事をご一読下さい。
後悔のない判断をしやすくなると思います。
不動産屋

「不動産屋に行く前に不動産屋を決めるって、当たり前の話じゃないか」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、単に何も考えず適当に不動産屋を決めるというような話ではありません。
自分にとって相性が良さそうで、なおかつ、ベストな提案をしてくれそうな不動産屋をちゃんと見極めて決めるということです。
不動産屋の選び方については実にいろんなことが言われています。
よく耳にするところで言えば
- 大手の方が社会的信用があって、安心だとか
- 免許番号が古い方が、長く営業しているので安心だとか
などといった話ですね。
でも、こういう話ってぶっちゃけ、眉唾ものです。
- 大手だからこそ、お客さんが多すぎて、一人一人のお客さんに対する対応がものすごく雑になったり、また
- 免許番号が古く長く営業しているからこそ、昔からの良くない仕事のやり方が沁みついていて今の法令順守の考え方に全然、キャッチアップできていない
ということも普通にありえるからです。
だから、もっと実質的にその不動産屋のことを観察して自分にとって良さそうかどうかを判断されることをおすすめします。
では、どうすれば、その実質的な判断ができるのかと言いますと、これは結構、簡単な話で不動産屋のホームページを含むウェブ上での発信をしっかりとチェックすればいいのです。
すると、その雰囲気やコンテンツの内容から不動産屋および、そこで働く人たちの
- お客さんに対する姿勢や
- ものの考え方
- 人となり
- 取引に関する知識のレベル
- 法令順守の意識の高さ
をかなり高い精度でうかがい知ることができますので。
ホームページ等は、その不動産屋の分身みたいなところがあって、しっかりとチェックすると、その不動産屋に行く前から、どんな営業マンが出てきて、どんな接客をしてくれるかを概ね把握できてしまいます。
何も考えずに根拠に乏しい理由で不動産屋を選んで「しまった!」と後悔したくない人は是非とも実践してみて下さいね。
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まとめ
不動産屋に行く前に以下の5つについて決めておくべき。
- 購入の目的
- 予算の上限
- 物件の所在地域
- 物件の種別
- 利用する不動産屋
購入の目的をはっきりさせ、目的が複数ある場合には、その優先順位も決めておく
予算の上限を決めるには
- 物件価格の相場
- 購入諸費用の相場
- マイホーム購入に使える自己資金の額
- 住宅ローン借入可能額
4つの情報の把握が必要となる
物件の所在地域は絞り込みすぎに注意。良い物件に巡り合えるチャンスが少なくなる。
不動産屋選びはホームページ等をチェックして、その不動産屋の本当のところを見極めて行う。
「まあ、不動産のことはよくわからないから、とりあえず不動産屋に行って相談しよう」ははっきり言って失敗の元です。
私も含め、不動産屋の言うことを鵜呑みにしたり、まして言いなりになどなってはいけないのです。
あなたにとっての最善の選択は、誰よりもあなたの考え、価値観を知っている、あなた自身にしか、なしえないのですから。
上記の5つの項目の検討は、あなたにとっての最善の選択を行うための言わば前提条件。
何十年も後悔し続けるようなことにならないためにも必ず、やって下さいね。
執筆者:松村保誠
宅建士・1級FP技能士・マンション管理士
宅建士3200名超を指導、不動産関連著書9冊


