不動産購入の諸費用目安はいくら?内訳一覧とプロが教える「損をしない」節約術
執筆者:松村保誠(宅建士・1級FP技能士・マンション管理士)
2026年5月27日

「マイホームを購入したいけれど、物件価格以外に『諸費用』ってどのくらいかかるんだろう……?」
いざ不動産の購入を検討し始めると、誰もが最初にぶつかるのがこの「諸費用」の壁です。
ネットで調べてみても、専門用語や税金の話ばかりで「結局、自分はいくら用意すればいいの?」と、不安になってしまいますよね。
結論からお伝えすると、不動産購入にかかる諸費用の目安は以下の通りです。
- 新築物件(売主から直接購入):物件価格の 3% 〜 7%
- 新築(仲介あり)・中古物件:物件価格の 6% 〜 10%
たとえば、4,000万円の物件を購入する場合、購入ルートによっては約240万〜400万円もの現金が、物件価格とは別に必要になる計算です。「思ったよりも高いな……」と感じた方も多いのではないでしょうか。
諸費用は、ただ金額が大きいだけでなく、「いつ、どこに、何のために払うのか」が非常にわかりにくいのが厄介なところです。ここをあいまいにしたまま進めると、最悪の場合、「手元の現金が足りなくて契約できない!」という事態に陥るリスクもあります。
そこでこの記事では、不動産のプロの視点から、以下のポイントをどこよりも分かりやすく解説します。
- 【一覧表で解決】諸費用がかかる「タイミング」と「具体的な内訳」
- 【損をしない】プロが実践する、諸費用を賢く安く抑える4つの節約術
- 【よくある疑問】諸費用も住宅ローン(フルローン)に組み込める?
この記事を最後まで読めば、予算オーバーの心配がなくなり、安心してマイホーム選びを進められるようになります。損をしないための「賢い資金計画」の第一歩として、ぜひ参考にしてください!
不動産購入の「諸費用」とは?いくらかかる?(目安と相場)

不動産購入における「諸費用」とは、物件そのものの価格以外にかかる手数料や税金などの総称です。具体的には、不動産会社への手数料、国や自治体へ納める税金、銀行へのローン手数料や保険料などがこれに当たります。
まずは、物件や「買い方」によってどれくらい金額に差が出るのか、全体の相場と目安を把握しておきましょう。
【重要】「新築か中古か」ではなく「仲介手数料があるか」で決まる
ネットの記事ではよく「新築は安く、中古は高い」と書かれていますが、これは半分正解で半分間違いです。諸費用の総額を大きく左右する最大の要因は、「仲介手数料」がかかるかどうかだからです。
パターン①:新築物件(売主から直接購入する場合)
目安:物件価格の 3% 〜 7%(例:4,000万円の物件なら 約120万〜280万円)
新築の分譲マンションや、ハウスメーカーから直接買い付ける注文住宅・建売住宅などが該当します。間に仲介会社が入らないため、諸費用を低く抑えられます。
パターン②:新築物件(仲介業者が入る場合)& 中古物件
目安:物件価格の 6% 〜 10%(例:4,000万円の物件なら 約240万〜400万円)
中古物件(一戸建て・マンション)のほぼすべてと、新築の建売住宅を地元の不動産会社(仲介会社)経由で購入する場合がこれに当たります。
新築であっても、間に仲介業者が入る場合は、中古物件と同様に物件価格の「約3%+6万円(+消費税)」という仲介手数料が発生します。4,000万円の物件なら、これだけで約138万円(税込)もの費用が上乗せされるため、「新築だから諸費用は安いはず」と思い込んでいると、資金計画が大きく狂ってしまうので注意が必要です。
※また、新築マンションの場合は、入居時にまとまった金額を支払う「修繕積立基金」などが数十万円単位で必要になるため、こちらも別途考慮しておく必要があります。
諸費用は原則「現金(自己資金)」で用意すべき理由
「諸費用が数百万もかかるなら、それも住宅ローンに組み込んで借りたい」と考える方も多いでしょう。
最近では、諸費用も含めて全額を借り入れる「フルローン(諸費用ローン)」に対応している金融機関も増えていますが、諸費用分は可能な限り「現金(自己資金)」で用意することを強くおすすめします。
その理由は大きく3つあります。
1.住宅ローンの審査が厳しくなる
物件の担保価値(物件そのものの価値)以上の金額を借り入れることになるため、金融機関の審査ハードルが上がります。
2.金利が高くなるケースがある
「自己資金が〇%以上ある方には金利を優遇します」といった銀行も多く、フルローンにすると最も有利な低金利プランを選べない可能性があります。
3.手付金は必ず「現金」が必要になる
売買契約時に売主へ支払う「手付金(相場5〜10%程度)」は、ローンが実行される(お金が振り込まれる)より前に支払う必要があります。つまり、一時的であれ、絶対に現金が必要なタイミングがあるのです。
どうしても現金が足りない場合はフルローンを検討するのも一つの手ですが、「金利負担が増える」「月々の返済額が上がる」というリスクをしっかり理解した上で、慎重に資金計画を立てる必要があります。
実際に計算してみよう!不動産購入 諸費用シミュレーター
ここまでの解説を踏まえて、あなたの検討している物件価格で「実際にいくらかかるのか」を計算してみましょう! 物件の種類やローンの条件を選ぶだけで、タイミング別の概算がすぐにわかります。
【タイミング別】購入諸費用の一覧表
諸費用は、不動産購入のステップに応じて支払うタイミングが異なります。
「決済の時だと思っていたら、契約時に現金が必要だった!」と慌てないために、いつ・どんな費用が発生するのかを一覧表で把握しておきましょう。
| 支払うタイミング | 費用の種類 | 支払先 | 費用の目安・特徴 |
|---|---|---|---|
| ①売買契約時 | 仲介手数料(半金) | 不動産会社 | ※仲介が必要な取引の場合、仲介手数料は契約時と引き渡し時の「半金ずつ」が一般的。 |
| 印紙税(売買契約書用) | 国(税務署) | ||
| ②ローン契約時 | 印紙税(金銭消費貸借契約用) | 国(税務署) | ※ネット銀行などの「電子契約」なら印紙代は無料(0円)になります。 |
| ③決済・引き渡し時 | 仲介手数料(残金) | 不動産会社 | 住宅ローンが実行されたお金(+自己資金)から、各支払い先へ一斉に振り込みを行います。 |
| 融資事務手数料 | 金融機関 | ||
| ローン保証料 | 保証会社 | ||
| 登録免許税 | 国(法務局) | ||
| 司法書士報酬 | 司法書士 | ||
| 固定資産税などの清算金 | 売主 | ||
| 火災保険・地震保険料 | 保険会社 | ||
| 修繕積立基金(※新築マンション) | 管理組合 | ||
| ④入居後 | 不動産取得税 | 都道府県 | 忘れた頃に納付書が届くため、あらかじめ手元に残しておく必要があります。 |
不動産購入諸費用の具体的な内訳

表で挙げた諸費用の項目について、それぞれ「何のための費用なのか」「だいたいいくら位かかるのか」を具体的に解説します。
物件の売買契約にかかる費用
- 仲介手数料(※仲介業者が入る場合のみ)
間に入ってくれた不動産会社(仲介会社)に支払う成功報酬です。法律で上限が定められており、物件価格が400万円を超える場合、「物件価格 × 3% + 6万円 + 消費税」で計算されます。諸費用の中でも最も金額が大きくなる項目のひとつです。 - 印紙税(売買契約書)
不動産の売買契約書に貼る収入印紙代です。物件価格によって金額が変わりますが、一般的なマイホーム(1,000万円超〜5,000万円以下)であれば、軽減措置により「1万円」となるケースがほとんどです。
住宅ローンにかかる費用
- 融資事務手数料
銀行に住宅ローンの手続きをお願いするための手数料です。「借入金額の2.2%(税込)」とする定率型と、「一律33,000円」などとする定額型があります。 - ローン保証料
万が一、住宅ローンの返済ができなくなった場合に備えて、保証会社に支払う費用です。借り入れ時に一括で支払う「外枠方式(数十万円〜)」と、毎月の金利に0.2%程度上乗せされる「内枠方式」があります。※最近のネット銀行は「保証料ゼロ(その代わり事務手数料が高い)」というケースも増えています。 - 印紙税(金銭消費貸借契約書)
銀行と住宅ローン契約を結ぶ際にかかる印紙代です。借入額によりますが、2万円となることが多いです。ただし、最近主流の「電子契約(WEB完結)」を利用すれば、この印紙代は0円になります。
登記・税金にかかる費用
- 登録免許税
「この土地と建物は自分のものです」と国(法務局)の帳簿に記録する(登記する)ための税金です。所有権の移転・保存登記や、住宅ローンの抵当権設定登記にかかります。一定の要件を満たすマイホームなら、税率の軽減措置が受けられます。 - 司法書士報酬
上記の複雑な登記手続きを代行してくれる「司法書士」へ支払う手数料です。相場は5万円〜10万円程度です。 - 不動産取得税
不動産を取得した際にかかる地方税です。最大の特徴は「忘れた頃(入居から半年〜1年半後)に納付書が届く」という点です。一定の床面積などを満たせば特例で「税額ゼロ」になることも多いですが、事前に控除対象か確認しておくことが重要です。
その他の費用(保険・その他)
- 火災保険料・地震保険料
住宅ローンを組む場合、火災保険の加入は必須条件となります。建物の構造や補償内容、期間(最長5年)によって異なりますが、15万〜40万円程度が目安です。 - 固定資産税・都市計画税の清算金
その年の固定資産税などを、売主と買主で「引き渡し日」を境に日割り計算して清算するお金です。引き渡し時に売主へ支払います。 - 修繕積立基金(※新築マンションのみ)
新築マンションを購入した場合、将来の大規模修繕に備えて、入居時にまとまった基金(数十万円〜)を管理組合に支払うのが一般的です。
プロが教える!購入諸費用を賢く抑える4つの節約術

「諸費用が物件価格の1割近くかかるなら、なんとか安くできないの?」
そう考えるのは当然です。実は、諸費用の中に「絶対に削れないもの(税金など)」と、「工夫次第で節約できるもの」が混在しています。
ここでは、効果的に諸費用を圧縮する4つの方法を解説します。
節約術1:仲介手数料の仕組みを理解する(「無料・半額」の落とし穴)
諸費用の中で最も金額が大きいのが「仲介手数料」です。「ここを値引き交渉すれば安くなるのでは?」、あるいは「最初から『仲介手数料無料・半額』を謳う不動産会社を選べばいいのでは?」と考える方も多いでしょう。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
不動産会社の主な収入源はこの仲介手数料です。無理な値引き交渉をすると、「このお客さんの対応は後回しにしよう」とされ、条件の良い未公開物件を紹介されなくなるリスクがあります。
また、最初から「無料・半額」をアピールしている会社にも注意が必要です。
なぜ無料にできるかというと、買主(あなた)から手数料をもらわない代わりに、売主(建売業者やリノベーション業者など)から多額の報酬(手数料)をもらえる物件ばかりを優先して紹介しているケースが多いからです。
不動産会社が「売主から手数料が入る物件(両手取引の物件)」ばかりを提案してくるため、あなたが本来出会えたはずの「市場に出ている本当に条件の良い物件」が紹介されず、物件選びの選択肢が狭くなってしまう可能性があります。
目先の「仲介手数料の安さ」だけで不動産会社を選ぶのは本末転倒です。数百万円の手数料を惜しんで、何千万円ものマイホーム選びで妥協してしまっては意味がありません。
手数料は「物件の選択肢を最大限に広げ、リスクのない取引をサポートしてもらうための正当な対価」と捉え、物件の囲い込みをせず、本当に親身になって探してくれる信頼できる不動産屋うんはいを選ぶことが、結果的に一番の得に繋がります。
節約術2:住宅ローン保証料・手数料の比較
住宅ローンの「借入先選び」は、金利だけでなく諸費用の節約にも直結します。注目すべきは「融資事務手数料」と「保証料」のバランスです。
- ネット銀行の場合: 保証料は「ゼロ(無料)」のことが多いですが、代わりに融資事務手数料が「借入額の2.2%」と高めに設定されています。
- メガバンク・地方銀行の場合: 事務手数料は「3万3,000円」など定額で安いですが、代わりに数十万円の「保証料(外枠方式)」がかかる、または金利に上乗せ(内枠方式)されるのが一般的です。
どちらがお得になるかは、借入金額や返済期間によって異なります。目先の金利の安さだけで飛びつかず、「初期費用の総額」を複数の銀行でシミュレーション比較することが、数十万円の節約への近道です。
節約術3:火災保険のプラン見直し(相見積もり)
銀行や不動産会社から「この火災保険に入ってください」と勧められたプランを、そのまま契約していませんか?それは非常にもったいないです。
火災保険は、不動産会社経由で加入する義務はありません。自分で複数の保険会社から「相見積もり」を取ることで、10万円単位で安くなることがよくあります。
さらに、ハザードマップを確認し、自分の物件に不要な補償を外すことが鉄則です。例えば、マンションの高層階であれば「水災補償(洪水などの被害)」は外してもリスクは低いです。本当に必要な補償だけを組み合わせる「カスタマイズ型」の保険を選ぶのがプロのセオリーです。
節約術4:各種減税・軽減措置の徹底活用
税金自体を値引きすることはできませんが、「知っていれば安くなる特例(軽減措置)」はたくさんあります。
- 登録免許税の軽減措置(※築年数や床面積の要件あり)
- 不動産取得税の軽減措置(※申請が必要)
特に不動産取得税は、要件を満たしていても「自分で都道府県税事務所に申告しないと軽減されない(高い税金が請求される)」ことがあります。「役所が勝後に安くしてくれる」とは限らないため、ご自身の物件が特例の対象になるか、事前にしっかり確認しておきましょう。
諸費用に関する「よくある質問」

不動産相談の現場でよく聞かれる、諸費用に関する疑問にお答えします。
Q1:諸費用も含めて「フルローン(自己資金ゼロ)」で組むことはできる?
A:可能ですが、リスクが伴うため慎重な判断が必要です。
諸費用を含めた「諸費用ローン(オーバーローン)」に対応する銀行は増えています。しかし、物件の担保価値以上の借り入れとなるため、審査が厳しくなるほか、「自己資金〇%以上」という優遇金利の条件から外れ、金利が高くなってしまうケースがあります。どうしても現金が足りない場合の最終手段と考えましょう。
Q2:引っ越し代や家具家電の購入費は「諸費用」に含まれる?
A:含まれません。別途「予備費」として用意しておく必要があります。
今回解説した「諸費用」は、あくまで不動産取引とローン手続きにかかる費用のことです。引っ越し代、新しい家具・家電の購入費、場合によっては手直し程度のリフォーム費用など、新生活を始めるためにはさらに数十万〜100万円程度の出費が重なります。資金計画には必ず「予備費」を組み込んでおきましょう。
まとめ:諸費用まで見据えた無理のない資金計画を
不動産購入にかかる「諸費用」の目安や内訳、節約のポイントについて解説しました。
- 新築(売主直販)の諸費用は物件価格の「3〜7%」
- 新築(仲介あり)・中古の諸費用は物件価格の「6〜10%」(仲介手数料がかかるため)
- 支払いのタイミングは「契約時」「決済時」「入居後」と複数回ある
- 「保険の相見積もり」や「銀行の比較」で数十万円の節約が可能
マイホーム探しはどうしても「物件価格(○○万円の家が買えるか)」ばかりに目が行きがちですが、本当に大切なのは「物件価格+諸費用+引っ越し代等」を含めた『総額』で資金計画を立てることです。
あとになって「手元の現金が足りない!」「フルローンで毎月の返済が苦しい…」と後悔しないよう、ぜひこの記事を参考に、無理のない予算組みからスタートしてください。
購入資金の主たる準備手段、住宅ローンの正しい選び方についてはコチラ。
【プロが本音で解説】失敗しない住宅ローンの選び方!よくある罠と現実的な3つの選択基準
購入諸費用の一つ、不動産取得税等の詳細についてはコチラ。
不動産にかかる税金(取得時・保有時)を徹底解説!2026年最新の軽減措置と資金計画の注意点
購入資金に充てるための親等からの贈与を賢く受け取る方法についてはコチラ。
【2026年最新】親からの住宅資金贈与1000万円非課税特例の要件と注意点!失敗しない正しい活用法
執筆者:松村保誠
宅建士・1級FP技能士・マンション管理士
宅建士3200名超を指導、不動産関連著書9冊


