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不動産を売ったら税金はいくら?譲渡所得税の仕組みと計算方法を徹底解説

執筆者:松村保誠(宅建士・1級FP技能士・マンション管理士)

2026年6月26日

不動産を売却した際の譲渡所得税がいくらかかるのか心配している売主さんご夫婦

不動産を売却すると、利益に対して税金がかかります。これを「譲渡所得税」といいます。

「税金がかかるのはわかった。でも、いったいいくら取られるの?」

多くの方が最初にぶつかるのが、この疑問です。そしてインターネットで調べてみると、「短期譲渡所得」「長期譲渡所得」「3,000万円特別控除」「取得費の概算計算」……と、聞き慣れない言葉が次々と出てきて、よくわからないまま不安だけが募る、という経験をされた方も多いのではないでしょうか。

実は、**譲渡所得税の仕組み自体はそれほど複雑ではありません。**基本的な考え方を押さえてしまえば、「自分の場合はどうなるか」がかなりクリアに見えてきます。

この記事では、不動産の売却を検討されている方に向けて、譲渡所得税の基本をできるだけわかりやすく解説します。計算の仕方から、知っておくと得をする控除・特例、確定申告の流れまで、**「これ一記事読めばひととおり理解できる」**を目標にまとめました。

難しい話は後回しにして、まず大事なことから順番に説明していきます。一緒に確認していきましょう。

譲渡所得税とは?まず「何に対してかかる税金か」を理解しよう

譲渡所得税とは何なのかを説明しようとしている男性ファイナンシャルプランナー

譲渡所得税について調べると、最初から計算式や税率の話が出てきます。でもその前に、絶対に押さえておきたい大前提が1つあります。

それは、

譲渡所得税は「売った金額」にかかるのではなく、「儲けた金額」にかかる税金である

ということです。

たとえば、3,000万円で不動産を売ったとします。このとき、3,000万円全額に税金がかかるわけではありません。「いくらで買って、いくらで売ったか」、つまり差額の利益部分だけが課税の対象になります。

これを知っているだけで、「不動産を売ったら大変な税金を取られる」という漠然とした恐怖は、かなり薄れるはずです。

「譲渡所得」ってそもそも何?

譲渡所得とは、不動産を売ったことで得た利益のことです。計算式で表すとこうなります。

譲渡所得 = 売却価格 ー 取得費 ー 譲渡費用

それぞれの意味はこうです。

  • 売却価格:不動産を売った金額
  • 取得費:その不動産をもともと買ったときにかかった金額(購入代金+購入時の諸費用)
  • 譲渡費用:売るためにかかった費用(仲介手数料など)

つまり、「売ったお金」から「買ったときのお金」と「売るためにかかったお金」を引いた残りが、税金のかかる対象です。

取得費と譲渡費用については後の章でくわしく説明しますが、「昔いくらで買ったか」が非常に重要だということを、まずここで覚えておいてください。

儲けが出なければ、原則として税金はかからない

買ったときより安い値段で売った場合、譲渡所得はマイナスになります。この場合、原則として譲渡所得税はかかりません。

たとえば2,500万円で買った不動産を2,000万円で売った場合、利益はゼロどころかマイナスです。税金を心配する必要はない、ということになります。

ただし、**「損したから確定申告しなくていい」とは限りません。**損失を翌年以降の税金と相殺できる「譲渡損失の繰越控除」という制度があり、これを使うには申告が必要です。この点については後ほど詳しく解説します。

ひとつだけ注意:「取得費不明」の落とし穴

「昔買った物件だから、いくらで購入したか証明できない」というケースがあります。この場合、売却価格の5%しか取得費として認められないというルールがあります(概算取得費)。

3,000万円で売った場合、取得費は150万円とみなされ、残りの2,850万円がそのまま課税対象になってしまいます。これはかなり不利です。

購入時の書類がある方はしっかり保管を。ない方も、すぐに諦めず使える書類がないか探してみることをおすすめします。この点についても、後の章で対処法を詳しくまとめています。

譲渡所得税の計算方法を具体例で理解する

不動産を売却した際の譲渡所得税の金額について計算している売主さんご夫婦

前の章で「儲けた金額に税金がかかる」という大前提を確認しました。では実際に、税金はどうやって計算するのでしょうか。

結論からいうと、計算の骨格はシンプルです。

譲渡所得(儲けた金額) × 税率 = 税額

ポイントは**「税率」**です。この税率が、条件によって大きく変わります。

税率は「何年間持っていたか」で大きく変わる

譲渡所得税の税率は一律ではありません。その不動産を何年間保有していたかによって、適用される税率が変わります。

保有期間 区分 所得税 住民税 復興特別所得税 合計税率
5年以下 短期譲渡所得 30% 9% 0.63% 約39.63%
5年超 長期譲渡所得 15% 5% 0.315% 約20.315%

ご覧の通り、税率がほぼ2倍違います。

たとえば譲渡所得が1,000万円あった場合、

  • 保有5年以下なら → 約396万円の税金
  • 保有5年超なら → 約203万円の税金

同じ利益でも、売るタイミングを少し変えるだけで約200万円の差が生まれることになります。

「5年」の数え方に注意

ここで多くの方が誤解しやすいポイントがあります。

保有期間の5年は、売却した年の1月1日時点で判断します。

たとえば、2019年6月に購入した不動産を2024年12月に売却したとします。購入から売却まで約5年半ですが、2024年1月1日時点では4年7ヶ月しか経っていません。この場合、「5年以下」の短期譲渡所得として扱われます。

税率が2倍になるかどうかの分岐点なので、売却を急いでいる場合も慎重に判断してください。

具体的な計算例で確認してみよう

では実際に数字を入れて計算してみます。

【前提条件】

  • 売却価格:3,000万円
  • 取得費(購入価格+購入時諸費用):2,200万円
  • 譲渡費用(仲介手数料など):100万円
  • 保有期間:7年(長期譲渡所得に該当)

【計算】

譲渡所得 = 3,000万円 ー 2,200万円 ー 100万円 = 700万円

税額 = 700万円 × 20.315% = 約142万円

売却価格3,000万円に対して、税金は約142万円。「売却価格3,000万円すべてに税金がかかる」と思っていた方には、意外と少ないと感じられるかもしれません。

ただし、これはあくまで特例や控除を一切使わない場合の金額です。次の章以降で説明する控除を使えば、さらに税額を減らせる可能性があります。

計算のまとめ

ここまでの流れを整理するとこうなります。

  1. 譲渡所得を計算する(売却価格 ー 取得費 ー 譲渡費用)
  2. 保有期間を確認する(1月1日時点で5年超かどうか)
  3. 税率をかける(5年以下 → 約39.63% / 5年超 → 約20.315%)

次の章では、この計算の中でも特に重要な「取得費」と「譲渡費用」に何が含まれるのかを、くわしく見ていきます。

取得費・譲渡費用とは何か(計算の肝)

譲渡所得から差し引く取得費の計算において建物については減価償却が必要であることを知りショックを受ける売主さん

譲渡所得の計算式をもう一度確認します。

譲渡所得 = 売却価格 ー 取得費 ー 譲渡費用

この計算式の中で、取得費と譲渡費用を正確に把握することが、税額を大きく左右します。「何が含まれるか」を正しく把握しているかどうかで、納める税金の金額が変わってきます。しっかり確認していきましょう。

取得費に含まれるもの

取得費とは、その不動産を取得するためにかかったお金の合計です。購入代金だけではなく、購入時にかかった諸費用も含まれます。

具体的には以下のものが該当します。

  • 不動産の購入代金
  • 購入時の仲介手数料
  • 売買契約書の印紙代
  • 登記費用(登録免許税・司法書士報酬)
  • 不動産取得税
  • 購入時にかかったリフォーム・改築費用
  • 建物の建築費用(新築の場合)

取得費が大きいほど譲渡所得が小さくなり、税金が減ります。購入時の領収書や契約書類は、売却時に大きな意味を持ちます。

なお、建物部分については、購入後に経過した年数に応じた「減価償却費」を差し引いた金額が取得費になります。建物は時間の経過とともに価値が下がるとみなされるためです。土地には減価償却はありません。

取得費の証明書類がない場合はどうする?

「昔買った物件だから、書類なんて残っていない」という方は少なくありません。でも、すぐに諦める必要はありません。

① まず「売買契約書」を探す

領収書がなくても、売買契約書があれば購入価格の証明になります。

② 住宅ローン関係の書類を確認する

ローンを組んでいた場合、借入時の書類に購入価格が記載されていることがあります。

③ 法務局で登記関係書類を取得する

登記申請書類から、当時の取引を裏付けられる場合があります。

④ 銀行の取引履歴を確認する

古い通帳や取引履歴(銀行に請求すれば一定期間は遡れる場合があります)で支払いの事実を示せることもあります。

⑤ 当時の不動産会社・建設会社に問い合わせる

購入時に関わった会社が、当時の契約書類を保管しているケースがあります。

それでも証明できない場合は「概算取得費5%」

上記の方法を尽くしても取得費を証明できない場合は、**売却価格の5%を取得費とみなす「概算取得費」**を使います。

例:3,000万円で売却した場合 → 取得費 = 150万円とみなす

つまり残りの2,850万円がそのまま譲渡所得になってしまいます。税負担はかなり重くなるため、書類探しは面倒でも、やっておく価値は十分あります。

ただし、購入価格が非常に安かった場合(バブル期以前など)は例外です。実際の取得費より概算取得費5%のほうが金額が大きくなるケースもあり、その場合は概算取得費5%を選んだほうが有利になります。どちらを使うかは選択できます。

譲渡費用に含まれるもの

譲渡費用とは、不動産を売るためにかかった費用のことです。以下のものが該当します。

  • 売却時の仲介手数料
  • 売買契約書の印紙代
  • 建物の取り壊し費用(更地にして売却した場合)
  • 測量費用
  • 売却のために行ったリフォーム費用(※売却目的であることが条件)
  • 立退料(借家人に退去してもらうためにかかった費用)

譲渡費用も取得費と同様、**金額が大きいほど譲渡所得が減り、税金が安くなります。**売却にかかった費用の領収書は、確定申告まで捨てずに保管しておきましょう。

ここまでのまとめ

取得費・譲渡費用のポイントを整理するとこうなります。

  • 取得費は購入代金だけでなく購入時の諸費用も含む
  • 書類がなくても代替書類で証明できる場合がある
  • 証明できない場合は売却価格の5%が取得費になる(不利なケースが多い)
  • 譲渡費用は売るためにかかった費用が対象

次の章では、多くの方に関係する可能性がある「特別控除・特例」について解説します。うまく使えば税金がゼロになるケースもある、非常に重要な内容です。

知らないと損する「特別控除・特例」

3000万円特別控除を利用した結果、譲渡所得税が0円となり、喜んでいる売主さんご夫婦

ここまでで、譲渡所得の計算方法と税率の仕組みを確認してきました。この章では、**知っているだけで税額を大幅に減らせる「特別控除・特例」**を解説します。

特にマイホームを売却する方にとっては、税金がゼロになる可能性もある非常に重要な内容です。

マイホームを売るなら「3,000万円特別控除」を必ず確認する

マイホーム(自分が住んでいた不動産)を売却する場合、譲渡所得から最大3,000万円を差し引けるのが「3,000万円特別控除」です。

課税される譲渡所得 = 譲渡所得 ー 3,000万円

たとえば譲渡所得が2,500万円だった場合、3,000万円を差し引くとゼロ以下になります。つまり税金は一切かかりません。

実際のところ、マイホームを売却する方の多くはこの控除によって税金がゼロになります。「不動産を売ると税金が大変」というイメージを持っている方も多いですが、マイホームであればそうならないケースがほとんどです。

主な適用条件

  • 現在住んでいるマイホームを売却すること(※引越し後の場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること)
  • 売った年の前年・前々年にこの特例を使っていないこと
  • 売主と買主が親子・夫婦など特別な関係でないこと
  • 住んでいた期間の長短は問わない(保有期間が短くても適用可能

この特例を使うには確定申告が必須です。自動的に適用されるわけではないので注意してください。

3000万円特別控除の詳細についてはコチラ。
3000万円特別控除を完全解説|マイホーム売却で税金をゼロにする方法

10年超保有のマイホームはさらに税率が優遇される

マイホームを10年以上保有していた場合、3,000万円特別控除を適用した後の譲渡所得に対して、通常より低い税率が適用されます。

譲渡所得の金額 所得税 住民税 合計税率
6,000万円以下の部分 10% 4% 約14.21%
6,000万円超の部分 15% 5% 約20.315%

通常の長期譲渡所得の税率が約20.315%であることと比べると、**6,000万円以下の部分は約6%も低くなります。**長く住んだマイホームを売る方にとっては、大きなメリットです。

売って損が出た場合の「譲渡損失の繰越控除」

不動産を売却して損失が出た場合(譲渡所得がマイナスになった場合)、その損失を翌年以降最大3年間にわたって給与所得などと相殺できる制度があります。

例:譲渡損失が500万円 → 翌年の給与所得500万円と相殺 → その分の所得税・住民税が還付される

ただし、この制度にはいくつか条件があります。

  • マイホームの売却であること
  • 売却した年の1月1日時点で保有期間が5年超であること
  • 譲渡損失の繰越控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること など

「損したから申告しなくていい」は大きな誤りです。損失が出た場合こそ、確定申告によって税金の還付を受けられる可能性があります。

譲渡損失の損益通算と繰越控除の詳細についてはコチラ。
家を売って損をしたら税金が戻ってくる?「損益通算」と「繰越控除」をわかりやすく解説

特例を使う際の共通の注意点

どの特例にも共通して言えることが2つあります。

① 確定申告をしなければ適用されない

特例は申告して初めて有効になります。「どうせ税金ゼロだから申告しなくていい」は通用しません。

② 複数の特例を同時に使えない場合がある

注意が必要なのが、3,000万円特別控除と住宅ローン控除の併用です。 マイホームを売却して新居を購入した場合、3,000万円特別控除を使った年とその前後2年間(合計5年間)は、新居の住宅ローン控除が使えなくなります。

買い替えを検討されている方は、「3,000万円特別控除で売却時の税金をゼロにする」か「住宅ローン控除で新居の税負担を減らす」か、どちらが有利かをしっかり試算した上で判断することをおすすめします。

いつ、どうやって払うのか

インターネットを使って確定申告を行う売主さん

譲渡所得税の計算方法と特例を確認してきました。では実際に、**税金はいつ・どうやって納めるのでしょうか。**意外と知られていないのが「不動産を売ったその年ではなく、翌年に支払う」という点です。順番に確認していきましょう。

確定申告が必要(原則)

譲渡所得税は、不動産を売却した翌年の2月16日〜3月15日の間に確定申告を行い、納税します。会社員の方は普段確定申告をする機会がないかもしれませんが、不動産を売却した年の翌年は原則として確定申告が必要です。

また、前の章で解説した3,000万円特別控除や譲渡損失の繰越控除などの特例は、確定申告をして初めて適用されます。「税金がかからないから申告しなくていい」ではなく、「特例を使うために申告が必要」という理解が正しいです。

納税のタイミング

確定申告後の納税時期は、税の種類によって異なります。

所得税 確定申告の期限と同じ、3月15日までに納付します。口座振替を利用する場合は4月中旬頃に引き落とされます。

復興特別所得税 所得税と合わせて納付します。

住民税 所得税とは異なり、売却した翌年の6月以降に納付書が届き、通常4回に分けて支払います。会社員の方は給与から天引き(特別徴収)される形になります。

つまり、不動産を売却してから税金の支払いが完結するまで、最長で約1年半かかることになります。売却後すぐに税金を払うわけではないため、納税資金を使ってしまわないよう注意が必要です。

確定申告に必要な主な書類

確定申告の際には、以下の書類が必要になります。事前に準備しておくとスムーズです。

  • 譲渡所得の内訳書(国税庁のウェブサイトからダウンロード可能)
  • 売買契約書のコピー(売却時・購入時の両方)
  • 取得費・譲渡費用に関する領収書類
  • 登記事項証明書
  • 特例を使う場合はその添付書類(住民票など)

確定申告は税理士に依頼することもできる

「確定申告なんて自分でできるか不安…」という方は、税理士に依頼することもできます。不動産売却の確定申告を専門に扱う税理士も多く、費用はかかりますが、申告漏れや計算ミスのリスクを避けられるメリットがあります。

また、国税庁の確定申告書等作成コーナー(ウェブサービス)を使えば、画面の案内に従って入力するだけで申告書を作成できます。まずは自分で試してみるのもよいでしょう。

よくある疑問・注意点まとめ

相続した不動産を売却する際の相続税の取得費加算について説明する不動産屋の営業マン

ここまでで譲渡所得税の基本的な仕組みを一通り解説してきました。最後に、よくある疑問やケース別の注意点をまとめます。「自分の場合はどうなるんだろう?」という疑問の答えがここで見つかるかもしれません。

相続した不動産を売る場合は?

親から相続した不動産を売却する場合、いくつか押さえておくべきポイントがあります。

取得費は被相続人(亡くなった方)が購入したときの金額を引き継ぐ

相続した不動産の取得費は、自分が相続した時点の評価額ではなく、もともとの所有者(親など)が購入したときの金額が引き継がれます。昔購入した物件の場合、取得費が非常に低くなることがあるため注意が必要です。

保有期間も被相続人の取得日から引き継ぐ

保有期間についても、被相続人が取得した日から計算します。相続してすぐに売却しても、被相続人が長年保有していた場合は「長期譲渡所得」として扱われます。

相続税を取得費に加算できる特例がある

相続税を支払った場合、一定の条件のもとで支払った相続税の一部を取得費に加算できる特例があります。相続した不動産を売却する予定がある方は、必ず確認しておきたい制度です。

夫婦共有名義の不動産を売る場合は?

夫婦で共有名義になっている不動産を売却する場合、3,000万円特別控除は共有者それぞれに適用できます。

つまり、夫婦それぞれが居住用として使っていたマイホームであれば、最大6,000万円(3,000万円×2人)の控除が受けられる可能性があります。共有名義の場合は、この点を忘れずに確認しておきましょう。

ただし、それぞれが確定申告を行う必要があります。

買い替えの場合は?

マイホームを売却して新しい物件に買い替える場合、**「特定の居住用財産の買換え特例」**という制度があります。一定の条件を満たすことで、売却益への課税を将来に繰り延べることができます。

ただし、この特例は「税金がゼロになる」わけではなく、**「今は払わなくていいが、将来買い換えた物件を売るときにまとめて課税される」**という仕組みです。なお、3,000万円特別控除との併用はできません。

買い替えの場合は特例の選択肢が複数あり、どれが有利かは個々の状況によって異なります。税理士への相談をおすすめします。

空き家を売る場合は?

相続した空き家を売却する場合、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」、いわゆる「空き家特例」が使える場合があります。

一定の条件を満たすことで、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。増加する空き家問題への対策として設けられた制度で、2027年12月31日まで適用されます。

主な適用条件は以下の通りです。

  • 1981年5月31日以前に建築された建物であること
  • 相続の開始直前まで被相続人が一人で居住していたこと
  • 相続してから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
  • 売却価格が1億円以下であること など

損失が出た場合も確定申告は必要?

売却して損失が出た場合、基本的に税金はかかりません。ただし、「譲渡損失の繰越控除」を使いたい場合は確定申告が必要です。

損失が出たからこそ申告することで、翌年以降の所得税・住民税の還付を受けられる可能性があります。「損したから申告しなくていい」と思わず、まず確認することをおすすめします。

まとめ

譲渡所得税の仕組みと計算方法のまとめについて伝える女性ファイナンシャルプランナー

この記事では、不動産売却にかかる譲渡所得税について、基本的な仕組みから計算方法、特例、確定申告の流れまでを解説してきました。最後に要点を整理します。

① 譲渡所得税は「儲けた金額」にかかる税金

売却価格全額ではなく、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた「譲渡所得」が課税対象です。買ったときより安く売れた場合は、原則として税金はかかりません。

② 税率は保有期間によって大きく変わる

1月1日時点で5年以下の保有なら約39.63%、5年超なら約20.315%です。売却のタイミングは慎重に判断してください。

③ 取得費の把握が税額を左右する

購入時の書類が残っていないと、売却価格の5%しか取得費として認められません。書類がない場合でも、代替書類で証明できる可能性があるため、諦めずに探してみることをおすすめします。

④ マイホームなら3,000万円特別控除を必ず確認する

多くの方がこの控除によって税金ゼロになります。ただし確定申告をしなければ適用されません。また、買い替えの場合は住宅ローン控除との関係も要確認です。

⑤ 損失が出た場合も確定申告する価値がある

譲渡損失の繰越控除を使えば、翌年以降の税負担を減らせる可能性があります。

⑥ 納税は翌年の春

不動産を売却した翌年の2〜3月に確定申告を行い、所得税は3月15日までに納付します。住民税は翌年6月以降の納付です。売却後すぐに税金を払うわけではないため、納税資金の管理には注意が必要です。

売却前に確認しておきたい3つのこと

最後に、不動産売却を検討されている方が事前に確認しておくべきことを3つお伝えします。

1. 購入時の書類を探しておく

売買契約書・領収書・諸費用の明細など、取得費を証明できる書類を今のうちに確認しておきましょう。

2. 1月1日時点の保有期間を確認する

売却のタイミングによって税率が大きく変わります。「あと少し待てば5年を超える」という場合は、売却時期の検討材料になります。

3. マイホームなら3,000万円特別控除の適用条件を確認する

住まなくなってから3年を経過する年末までに売却することが条件の一つです。時間的な制約がある場合は早めに動くことが重要です。

譲渡所得税は、仕組みを知っているかどうかで納税額が大きく変わる税金です。「難しそう」と敬遠せず、まずは自分のケースに当てはめて考えてみてください。個別の状況によって最適な対応は異なりますので、具体的な金額の試算や特例適用の可否については、税理士への相談もご検討ください。

執筆者:松村保誠
宅建士・1級FP技能士・マンション管理士
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